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同じ野菜でも、品種ごとに成長の早さが違うのをご存知でしょうか?
例えば、一口にキュウリと言っても、成長に必要な期間(種をまいてから収穫できるまでの期間)が短い品種もあれば長い品種もあります。
一見すると、早く成長して早い時期から収穫できた方がいいように思えますが、成長が遅い方がいいケースも多いです。
そこで本記事では、野菜の成長の早さによる栽培のしやすさや品質の違いなどを説明していきます。野菜の品種が多すぎて種選びに困っている方は是非参考にしてください。
1.早晩性とは
作物の種をまいてから収穫できるまでの栽培期間(成長の早さ)を表した性質のことを「早晩性(そうばんせい)」と言います。
早晩性では、
栽培期間の短い(成長の早い)品種を「早生(わせ、そうせい)」
栽培期間の長い(成長の遅い)品種を「晩生(晩生、ばんせい)」
早生と晩生の中間の品種を「中生(なかて、ちゅうせい)」
のように分類しています。
さらに、早生・中生・晩生をさらに細かく分けると、
極早生<早生<中早生<中生<中晩生<晩生<極晩生(大晩生)
の順で生育期間が長くなります。
早晩性は、同じ野菜でも品種によって異なります。
冒頭でも示したように、同じキュウリでも早生の品種と晩生の品種があります。
品種の早晩性を確認したい場合は、種のパッケージをよく見ると、品種名の周りや特徴欄のところに極早生や晩生などと書いてあります。(書いてない場合もありますが・・・)
2.早生と晩生の比較
早生と晩生どちらがいいかは、地域や栽培方法などによって変わってきます。あなたの農園にはどの早晩性のものが良いのか、様々な角度から比較してみましょう。
2-1.早生が有利な点
① 自然災害の影響を受けにくい
生育期間が短いと自然災害の影響を受ける確率が下がるため、早生の方が有利になります。
反対に、生育期間が長いと大雨や低温などの影響を受ける確率が上がります。大雨や低温などで減収してしまったり、収穫作業が困難になってしまう可能性もあります。
また、晩生では収穫時期が梅雨や台風などの時期と重なってしまう場合、早生にすれば梅雨や台風の影響を受けずに収穫できます。
② 輪作に向く
輪作(野菜Aを育て終わった後に野菜Bを続けて育てる)場合、先に育てる野菜Aを早生にした方が野菜A→Bの移行がスムーズになります。早生の方が成長が早く、畑に留まる期間が短くて済むため、野菜Aの収穫時期と野菜Bの種まき・植付け時期が重なりにくくなります。
また、晩生の品種だと輪作できない組み合わせも、早生にすれば輪作可能になるかもしれません。
③ 収益性がいい
野菜を旬よりも早い時期に出荷すると、市場で歓迎されるため高い収益を得ることができます。そのため、早い時期に収穫できる早生の方が有利です。
2-2.晩生が有利な点
① 大きく育つ・収穫量が多い
生育期間が長いため大きく育ち、収穫量も多くなります。
② 味が濃い
じっくり育つため、味が濃くなります。ただし、玉ねぎなどは辛味も強くなるので、好みによります。
③ 貯蔵性がいい
例えば、玉ねぎは早生よりも晩生の方が水分含有量が少ないため、腐りにくくなっています。そのため、早生は夏ごろまでしか貯蔵できませんが、晩生は翌年の3月頃まで貯蔵できます。
④ 栽培しやすい
早生は成長が早いため、適切な収穫時期を逃すと大きくなりすぎてしまったり、硬くなったり、老化が進んでいきます。適切な時期に一気に収穫できれば問題ないですが、少しずつ収穫していく場合には向きません。
一方、晩生は成長が遅い分、老化も遅いので、収穫できる期間も長いです。そのため、一気に収穫しなくても、収穫時期を逃す(食べごろを過ぎてしまう)ことが比較的少ないと言われています。
3.結局、どの早晩性がいい?
早生にも晩生にもそれぞれメリットデメリットがあり、どの品種がいいかは地域や栽培方法よって変わってきます。
ただし、早生を選ぶ理由がない場合は、収穫量が多く、味も濃く、さらに貯蔵性もいい「中生」や「晩生」を選ぶことをオススメします。
また、早生と晩生の品種を組み合わせることで、収穫時期をずらすこともできます。自然災害があった場合のリスク分散にもなり、収量を安定させることができます。
4.まとめ
同じ野菜の種でも、品種ごとにさまざまな成長スピードがあることが分かったと思います。
それぞれのメリットを活かすと、収益を改善できたり、長期間同じ作物を出荷したり食べたり、栽培リスクの軽減になったりと、いろいろないいことがあります。
それぞれの地域の特性や各々の栽培方法から、あなたの農園に合った品種を見つけていきましょう。
あなただけの栽培プランを考えるのも農業の楽しみの一つです。
あなただけの農園をつくりあげて、楽しい農業ライフを送りましょう!
んだば、まんず。